専用ハンディターミナル(HT)のリプレイス見積書を見て、その金額に頭を抱えてはいないでしょうか。
WMS(倉庫管理システム)や一元管理システムによって倉庫のデジタル化を進めたはずが、現場では依然として紙のピッキングリストとシステムへの実績入力という二重管理が続いていませんか? また、繁忙期やセール時期の出荷波動に対し、高価な専用機を人数分そろえることが難しく、結局は人海戦術とベテランの経験則で対応してはいないでしょうか。
多くのEC事業者の現場が、「コスト」と「効率」のジレンマに直面しています。 では、なぜコストや効率に課題を感じつつも、高価な専用機から離れられないのか。そこには、現場管理者なら誰もが抱く、次のような懸念があるからではないでしょうか。 「倉庫は動き回る場所であり、コンクリート床に端末を落とすリスクもある。だからこそ、衝撃に強く壊れにくい『堅牢な専用ハンディ』でなければ業務が止まってしまう」 このような固定観念がないでしょうか。
ピッキング効率化の阻害要因となりがちなコストや運用の壁をどう突破するか。もちろん、専用機が持つ耐久性やスキャン性能は優れたものです。しかし、TCO(総所有コスト)とBCP(事業継続計画)という経営的な視点に立ったとき、現代の倉庫現場における課題解決に適した、身近なデバイスが存在します。
それが、「スマートフォン」です。
一見すると業務用途には不向きと思われるスマートフォンが、なぜ多くのEC事業者にとって合理的かつコストパフォーマンスに優れた選択肢となり得るのか。その理由と、導入へのロードマップを解説します。
せっかくシステムや新しい機材を導入したのだから、生産性は劇的に上がるはずだ」 経営層や管理者はそう期待しますが、現実では必ずしもそうではありません。むしろ、デジタルとアナログの狭間で作業が複雑化し、かえって手間が増えているケースすら散見されます。
なぜ、こうした導入効果が十分に発揮されないのでしょうか。 その背景には、機材やシステムのスペックだけでは決して乗り越えられない、現場特有の構造的な阻害要因が潜んでいます。ここでは、多くの現場で共通して見られるこの要因を「4つの壁」として整理します。
一つ目は、作業時間の大半を占める移動のムダです。 導入当初は整理されていたロケーション管理も、日々の運用で新商品や季節商品が増えるにつれ、「空いている棚にとりあえず置く」という運用が常態化しがちです。
結果として動線は複雑化し、ピッキング担当者は「商品を探す時間」と「倉庫内を歩く時間」に業務時間を浪費すことになります。この時間はシステム上のログに残りにくく、ブラックボックス化しやすいのが特徴です。
二つ目は、紙運用やシステム環境に起因する機械待ち時間です。こうした待機時間は、個々では数分程度でも、1日の累積では大きなロスとなります。具体的には、以下のような事象が現場で頻発しています。
全スタッフがピッキングリストの印刷待ちで並び、作業開始が10~15分遅延。
倉庫から事務所への往復と印刷待ちで、1回あたり10分以上のロス。
実績入力時のシステム応答が遅く、画面遷移を待つ時間が蓄積。
これらは個別には「仕方がない」と見過ごされがちですが、1日に何度も発生することで、出荷処理能力に深刻な影響を与えているのです。
三つ目は、コストによる柔軟性の欠如です。 前述の通り、専用機は高価です。そのため、繁忙期やセールに合わせて短期スタッフを増員したくても、「数週間のために高額な専用機を追加購入する」という経営判断は困難です。
結果として、増員スタッフは「紙リスト」でのアナログ作業を強いられ、現場の混乱やミスを招く原因となります。
最後は、現場の「人」に関する課題です。 倉庫のレイアウトや商品の特性を熟知したベテランスタッフは貴重な戦力ですが、その「勘」や「経験則」に依存しすぎると、イレギュラーな注文への対応が属人化してしまいます。
また、新しいシステムの導入に対し、こうしたベテラン層から「今までのやり方の方が早い」「新しい機械は使いにくい」といった心理的な抵抗が生まれ、改革が進まないケースも少なくありません。
先の「4つの壁」を乗り越えるには、適切なステップを踏む必要があります。
まず、「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」や「ロケーション管理」といった物理的な環境整備は前提条件です。しかし、これら「土台」を整えるだけでは、タイムラグ(壁2)やコスト問題(壁3)、属人化(壁4)の根本解決には至りません。
そこで問われるのが、デジタル化におけるデバイスの選択です。 「専用ハンディターミナル(HT)」か、それとも「スマートフォン」か。
ここで最大の懸念事項となるのが、やはり「耐久性」でしょう。 「コンクリートの床に落としたら、すぐに壊れてしまうのではないか」 スマートフォンの一般的なイメージから、そう危惧されるのは当然です。
確かに、過酷な環境でも耐えうる専用機に比べ、スマートフォンは衝撃に弱い側面があります。しかし、そのリスクを考慮に入れたとしても、TCO(総所有コスト)の観点からは異なる評価が可能になります。
経営判断において重要なのは、導入時の端末価格だけでなく、5年間の運用トータルコストです。
具体的に、10台の端末を5年間運用するケースで比較してみましょう。 スマートフォンは、業務利用に十分なスペックを持つ「新品のエントリーモデル(Android)」を採用し、5年間のうちに落下等で2台が故障し、買い替えが発生したという現実的な条件で試算します。
堅牢性は高いですが、ハードウェア費用に加え、毎年の保守契約費用が発生します。
コスト内訳:
(本体 15万円 + 保守費年額2万円×5年) × 10台 = 250万円
初期導入費(新品スマホ・スキャナ・ケース)に加え、期間中に2台を新品へ買い替えたと仮定します。
※故障時はスキャナやケースを流用し、スマートフォン本体のみを交換する想定です。
コスト内訳:
(初期セット 6万円 × 10台) + (スマホ本体買い替え 3.5万円 × 2台) = 67万円
250万円 – 67万円 = 183万円の削減
コスト削減効果:約73%(▲183万円)
専用機に比べ、約1/4のコストで運用可能です。「スマホは壊れやすい」という懸念がありますが、仮に数台が壊れて買い替えたとしても、トータルコストは圧倒的に安く収まります。 この差額予算で「予備機」をあらかじめ数台確保しておけば、故障時にメーカー修理を待つことなく、その場で交換して業務を再開できます。
次に、BCP(事業継続計画)の観点です。 従来の専用ハンディの多くは、倉庫内のWi-Fi環境に依存しています。そのため、ルーターの故障や通信障害が発生した場合、すべてのハンディが機能停止に陥るリスクがあります。
一方、SIMカードを挿入したスマートフォンであれば、Wi-Fiに依存しない独立した通信(4G/LTE/5G)が可能です。 もちろん、MDM(端末管理ツール)やVPN等によるセキュリティ対策は前提となりますが、万が一のWi-Fiトラブル時でも携帯キャリアの回線を使って業務を継続できる。この「通信の冗長性」は、専用機にはない大きなアドバンテージです。
最後に、現場スタッフの教育コストです。 近年はAndroid OSを搭載した専用ハンディも増えていますが、物理キーの配列や操作感は機種ごとに異なります。 対して、市販のスマートフォンは、多くのスタッフが日常生活で使い慣れた操作性を有しています。
「業務用の複雑な端末を覚えたくない」というベテラン層の心理的抵抗(壁4)を最小限に抑えられるほか、繁忙期の短期スタッフに対しても、操作説明の時間を大幅に短縮し、即戦力化することが期待できます。
TCO、BCP、操作性の観点からスマートフォンというハードウェアを選定しました。しかし、デバイスを変えただけでは、現場の改革はまだ道半ばです。
問われるべきは、そのデバイスがWMS(倉庫管理)や基幹システム、会計システムといった「既存のシステム群」と、いかにシームレスに連携できるかという点です。 ECのバックヤード業務は、受注から出荷まで複数のシステムが複雑に関わり合っています。単に端末をスマートフォンに変えたとしても、各システム間のデータ連携が分断されていれば、現場の負担は解消されません。
たとえば、BtoCにおけるギフトラッピングの種別判断や、BtoBにおける特殊な納品書指定、ロット管理など、標準的なシステム連携では情報が欠落してしまうイレギュラー業務が必ず存在します。こうした「連携の隙間」が、ベテランの勘や手作業に依存せざるを得ない要因となっています。
そこで重要になるのが、各システムの間に立ち、自社の運用ルールに合わせてデータを橋渡しする「ソフトウェア・カスタマイズ」です。 現場独自の知見をシステム間の連携ロジックに組み込むことで、スマートフォンは単なる入力端末から、複雑な業務判断を支援するツールへと進化します。
ピッキングすべき商品や数量を間違えた瞬間、スマートフォンが音やバイブレーションで即座にエラーを通知します。
複雑な同梱物や梱包指示を、文字情報だけでなく画像で画面に表示させます。経験の浅いスタッフでも迷わず判断できます。
「この商品は壊れやすい」「セット組みが必要」といった暗黙知を、該当商品のスキャン時にアラートとして表示させます。
送り状番号をスキャンした瞬間に、WMS側のステータスを「出荷検品完了」へ自動更新。事務所でのデータ入力を不要にします。
このように、自社の運用に合わせてソフトウェアを最適化することこそが、ベテランの抵抗感を和らげ、システムが業務をサポートしてくれるという実感を生み出します。
さらに、ピッキング完了後に送り状番号をスキャンするだけで、受注ステータスや出荷日が管理システム本体へ自動連携される仕組みを構築できれば、事務所での事後入力作業(壁2)も解消され、真の生産性向上が実現します。
レベル2(スマホ化)とレベル3(カスタマイズ)を実行した現場は、具体的にどう変わるのでしょうか。 ここでは、よくある課題を抱えた2つのモデルケースを想定し、導入効果をシミュレーションします。
WMSや一元管理システムは導入済みですが、現場運用は紙が中心でした。朝一番、全スタッフがプリンター前に集まり、ピッキングリストの印刷待ちで10~15分のロスが発生。作業開始が大幅に遅れていました。
さらに、作業中にリストを汚したり破いたりした際は、倉庫から事務所まで戻って再印刷する必要があり、往復だけで1回あたり10分以上。注文の追加や変更があるたびに最新リストを再出力するため、プリンター依存の運用が現場の足かせになっていました。
専用ハンディターミナル(HT)を導入済みでしたが、繁忙期には想定以上のスタッフを10名ほど追加雇用していました。しかし、急増するHTは予算が許さず、増員スタッフは紙リストでのピッキングを余儀なくされていました。
また、特殊な納品書書式や賞味期限といったイレギュラー対応が頻発し、その都度ベテランスタッフの確認が必要で、作業効率が低下していました。
本コラムでは、「専用ハンディターミナル(HT)」という従来の常識を問い直し、「スマートフォン」という新たな選択肢の可能性を検証してきました。
結論として、スマートフォンは単なる「安価な代替品」ではなく、TCO削減、BCP強化、教育コスト削減、そしてカスタマイズによる現場最適化という、経営的に合理的なソリューションとなり得ます。
しかし、既存システムとの連携仕様を定義したり、現場独自のルールをアプリケーションへ落とし込んだりする作業は、自社リソースだけでは実装のハードルが高いのも事実です。
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